今回は魚座について書きました。

魚座というのは12サインの総括的なサインであり、人生のまとめのようなサインです。水サインであるので誰彼構わずくっつき、同調する性質があります。柔軟サインなのでよりどりみどりってかんじです。蟹座なら活動サインなのである程度活発に動ける状況、蠍座なら固定サインなのである特定のターゲット相手にしかくっつかないのですが、魚座は柔軟サインなのでターゲットを選ばない。ひたすら周囲の状況に流されます。

しかし、魚座の本質は12サインのまとめ、人生のまとめとして、他者、世界から自分を切り離すことにあります。これが面白いところです。水サインで他者にくっつくのに、他者から分離することが目的。一見矛盾しています。これは実は世界から分離したいんだけど、その方法がわからない、だからとりあえず今くっついてるものから離れよう→次の新しいターゲットにくっつく、という流れなのです。つまり、世界から離れてどこかへ行きたいんだけど(=新しい世界にくっつきたいんだけど)それが失敗して現世を彷徨ってるかんじです。もちろん魚座の関心はちがう世界にあるので、いくらこの世の対象にくっついても満足できず、違うターゲットへ結びつきます。

しかし、これはあくまで魚座の一面に過ぎません。もうひとつの一面があります。それは他者と接触することで何かを学んだり、自分の魂、精神の形について理解することです。その目的は魂の純化をした上での目的の実行にあります。何かを行いたいんだけど、やはりそれを一人ですることはできない。自分にはその能力も、知識もない。そういう場合には他者から学ぶこともあるでしょう。その時、水サイン的にくっつくのです。そして、いずれ離れます。なぜなら魚座の目的は他者から分離した状態で行われるべきことだからです。価値観を他者と共有したままではできない。ひたすら自分のみの価値観、思考で事をなすのです。それが内的な創造力と言われる所以でしょう。他者から隠す=内側に思考を収めることで他者に思考を汚されなくて済む、干渉されずに済むのです。

ただ、魚座って打たれ弱いイメージがありますよね。他者の心理に共感したり、心を労ったりすることが得意なところからもわかるように、優しく過敏なところがあるのです。それに他者から最終的に独立するのが目的といっても本人自体は人懐っこい。愛情豊かです。魚座の月と金星は特に。これはおそらく、本人自体求めているものがわかっていないからなのだと思います。魚座の最終的なターゲットってスピリチュアルとかこの世ではない面にあります。しかし、まだそれを自覚していない段階では、その魚座的衝動を現世のものや人物に対して求める。だから、人懐っこく、共感的になるのではないでしょうか。そして、しかし本来求めているものでないがゆえに別れるのです。あるいは、この世への未練を断ち切るために、何かに愛情を持ち、そして失望することを繰り返しているのかもしれない。ひたすら柔軟サイン的になにかにひっつき失望することを繰り返すことで、この世への未練を断ち切っているのかもしれない。なぜなら、魚座が求めているあちらの世界へ行くには、現世に未練や後悔があってはならないからです。その想いは足かせとなってこの世界に自身を縛り付ける。なので、自分でも気づかぬうちに、この世の執着を断ち切る作業をしているのかもしれません。

もちろん、ハーモニックで出てくるケースとか、ハウスとしての魚座とかもあるので、単純にそうとだけ捉えるのもよくないんですけどね。魚座には複雑性があります。それは12サインの総括サインなので、あらゆる思考が混ざってるからでしょうね。で、人によってそこから何を引き出すかが異なっている。なので魚座の意味に多重性が生まれているんではないでしょうか。となると、魚座というのは一つのサインに他の11サインを混ぜ込んだものと見るといいかもしれないです。水は感情であり、魂、過去、形なきものの集合であるわけだから11サインの思い出が流れ着く場所と考えるにはふさわしい場所だと思います。

あるいは、より上位にある魂からホロスコープが対象とする次元の魂への干渉口なのかもしれません。冥王星を春分点と見る考えがありますよね。そして魚座のルーラーは海王星です。となると、春分点から流れ出たものが魚座に流れ出してるのかもしれない。いわざ魚座イコール春分点から持ち込まれた思考・感情のたまり場です。で、春分点の先ってこちらより抽象的な世界ですし、そもそもこちらの世界で適応する記号が中々ないので、うまく形が与えられないんですよ。だから、魚座って水サインなんじゃないですか。で、柔軟サインであっちこっちにくっつき、離れてるのは春分点からやってきたものに合ってる形のものがなくて右往左往してる。そんなことを思いました。


というわけで魚座とは、何かにくっつく水サインの性質を持ちながらも、そこから独立していく性質を持った不思議なサインといえます。しかも、単純にスピリチュアルや異世界を志向するだけではない、ホロスコープ全体の思考・感情の終着点としての意味も持っています。そして逆に、春分点から持ち込まれた情報の出入り口にもなってます。

はじめは、魚座の他者への共感や、そこから独立していく面白さについて書こうと思っていたんですが、書いてるうちにどんどん違うことを書き始めました。おそらくこれは、魚座の、12サインの総括的な性質、春分点から情報が流れ込んでくる性質によるものでしょう。どっちかっていうと、魚座から春分点に対して情報が飛び出していく=魚座30度、と考えられがちですが、私はそれだけではないと思ってます。春分点からホロスコープに対して情報が侵入してきて、その出入り口が魚座になってるケースがあると感じています。ルーラーですが、海王星は夢見であり、海王星が聴いてる人は夢想的なことに囚われがちじゃないですか。夢を見ているというより、夢を見させられてますよね。あれって、上位のものから情報が侵入してきて、それに意識が飲み込まれている状態だと思うんです。チャネラーさん的なの。この辺りも魚座のややこしい部分ですね。