さて、今回は牡羊ポイントについて考えてみましょう。
牡羊ポイントというのは活動宮の前後2度以内のエリアを指します。オーブについては人によって適用が異なるので1度とか1.5度になることも。牡羊と言われていますが、蟹座とか天秤座、山羊座も含まれます。
で、このエリアに天体があると、その天体は非常に強い影響力を持つらしいです。なので、悪い意味に捉える人もいて事件、事故との遭遇とこの度数域にある天体を絡めて考える人もいます。
ただ個人的にはたとえ牡羊ポイントに天体、あるいはASC、MSなどの感受点があったとしても、それを悪い意味で捉える必要はないと思うんですよ。ではなぜ、この度数を悪いものと考える人が多い、あるいは実際に悪い結果が生まれてしまうことが多いのかというと、それはこの度数が宿している衝動性によるものでしょう。
サインの初期度数、1~5度辺りは意識的にそのサインの活動をするというよりも、極めて衝動的に行われます。衝動に突き動かされてながらやるんです。それは意識が自分の持ってる感情や意思に支配されて飲み込まれている状態であるとも言えます。牡羊ポイントの持つ強い影響力というのはおそらくこれのことです。こうした現象は活動宮だけではなく、不動宮、柔軟宮でも起こります。
ではなぜ活動宮のみが取り沙汰されてるかというと、活動宮は自ら行動、行為を起こすサインだからです。不動宮であれば何か一つの行為に引っ付いてそこから動こうとしません。牡牛座なら五感を使うものや物質的なものに対する欲望など、獅子座なら感情表現、創造性、蠍座なら何か特定の人物、組織に対する同化、水瓶座ならあるネットワークに根ざした上でのコミュニケーションですね。いつもそうした面でじっとしながら、動かず同じ行為をし続けます。獅子座は派手ですがいつも歌ってばかりとか。柔軟宮はそもそも外部に対するリアクションのサインですから、周りが動かないと動けません。
では、活動宮はどうかというと、こちらは自分で動き出すんです。しかも、どんどん普段とは違うことをします。牡羊座は存在そのものが新しく何をやっても新しいものを生み出しますし、蟹座は少しずつですが新しい知らない人たちと愛情を深めていきます。天秤座も知らない人とコミュニケーションし、山羊座は社会での何らかの欲望を達成しようと動き出すでしょう。どれも、常に新しい一歩を生み出そうとしてるのです。牡羊座1度は例外的におとなしいですけどね、世界に現れたばかりできょとんとしてる状態なので。
で、牡羊ポイントの0~2度に関しては、まあそんな感じの強い衝動性に突き動かされてるって理解から大きな影響力を持ってるんだろうなーってことは想像できるんですよ。じゃあ逆に前サインの28~30度はどうなんでしょうね?すなわちポイントの反対方向です。
個人的には27度でからではなく、28度からがポイントの対象範囲になってることが面白いと思うんですよ。28度というのは度数の意味としてそのサインからの脱出口が見つかるポイントです。現在のサインに飽きている時に次のサインへ行くきっかけが見つかる状態です。常に自分の意思で突進していた牡羊座がようやく肉体や物質に目を向けるみたいな。それは、現在のサインから心理的な意味で切り離されてる場所であるとも言える。まだ、次サインに移動してないので心理的な面のみです。
で、28度に天体を持つ人の場合ですが飽きてる状態で次の未知のサインへの脱出口を見つけるのでその果てにあるものを強く求める傾向があります。砂漠で水を見つけたかんじです。飽きから解放されてやっと新鮮なものが見つかった!みたいな。そして29、30度とそのテンションの延長で進んでいくので、牡羊ポイントの影響力っていうのはその欲望、感情に突き動かされてるんだろうなと思います。
ただ、0~2度のほうとちがうのは、意識が成熟してる点と、いくら次サインに恋い焦がれようと結局は前のサインにいるという点ですね。この違いは大きいです。影響力が強いというのは同じですが。その辺りはサビアンシンボルの研究をするときにでも扱いましょう。
牡羊ポイントの危険性について考えてみると、やはり新しい活動をどんどんしていく点なんでしょうね。活動宮全体に言えますが落ち着きがないです。安定感がない。傍から見ると危なっかしい所があります。エネルギッシュなんだけど、その分どこか危うい感じ。リスクですね。で、活動宮の中でも特に衝動的な0~2度帯に天体があることで、どんどんリスクある行動を取っていくことになるんです。それが危険だと言われてるんでしょうね。
でもこれってビジネスとかだと優位に働く点ですよ。リスクが取れるというのはメリットになることもある。もちろん、大きなデメリットにもなりますが。その辺りは他の天体を活かしたり、自分で自分にはそういう不安定な面があるんだという自覚を持って行動することを心がけるといいです。土星的な意識を持ちましょう。あと、活動宮って仕上げることが苦手です。始めて広げるだけ。これは投資するだけで後は管理しない、金が減るだけみたいなかんじにもなるんでしょう。気をつけたいところです。固定サインの意識を活かしたいですね。活動宮が突出して強い人って見ていてヒヤヒヤするんですよね。身体のこととかちゃんと大切にしてるだろうかって思っちゃう。家族が心配してそうです。
そしてもう一つ言われてるのは、公的な面での影響力ですね。牡羊ポイントに天体があると他者や社会に対して果敢にアプローチを行うようになるよっていうやつです。
これは牡羊座、蟹座、天秤座、山羊座の性質を考えてみれば自然なことだと分かります。天秤座と山羊座はともに社会性の強いサインですから当然です。蟹座の場合は、他者とくっつき、共感するサインです。なので、人やある集団に対して密着していくという意味では合ってますね。ただ、公的な主張するという意味では合ってないです。むしろ主張を弱めて集団に同調するサインなので。その面では蟹座に関して牡羊ポイントの公的な影響力というのは間違ってると思います。牡羊座に関しても1度は牡羊座としては例外的におとなしい度数ですし、2度も模倣の度数です。何か独自のものを社会に打ち出す度数ではない。
そうして考えてみると、牡羊ポイントは外部に自分の意思を打ち出すというより、外部に対して強く接触しようとするという理解に留めたほうが良いと思います。どのサインの活動宮ですが初期度数なのでまだ未熟な状態です。こちらから意思を打ち出していくというより、むしろ環境の側に振り回されながら意思を生み出していくような状態なんですよ。子供みたいに社会に翻弄されてる状態です。
この部分は活動宮の性質として考えてみるのも面白いかもですね。不動宮なら環境から独立してなにかにしがみつこうとする作用が発生します。だからわがままと言われてることもあります。人の言うことを聞かない、場の空気を読まないみたいな。逆に言えば活動宮には、人の言うことを聞く面があるんですね、柔軟宮とはちがう形で。自ら積極的に動き出しているように見えて、環境に依存している面があると考えてみてもいいかもしれない。全くゼロの状態から意思が生まれてくるというのも少ないですから当たり前のことなのかもしれません。
牡羊座の場合には周囲に反発しがちですが、あれも環境に反発する形で自分の意思が生まれていると考えてみてもいいです。反発する環境がなければどうしていいか分からないんですよ、牡羊座って。生まれたばかりなのであまりしたいこともないし。ただ、環境に馴染めなくてそこから離脱したくなり、それが力になって生きているというか。
もしかすると、牡羊座の原動力は周囲への違和感、馴染めない不快感なのかもしれませんね。この辺りも追々考えていきたいです。
で、少し上のほうで牡羊ポイントは社会に意思を打ち出すというより、社会・外部と接するポイントとして理解したほうがいいと言いましたが、では実際に積極的に他者と会話したりしていくかというとそうでもないです。そこはハウスを見たほうがいいです。12ハウスとかなら、ネットで誰かと話す、活動するとか、本とか読んで外部についての情報を得て影響を受けるくらいになるんじゃないかな。牡羊ポイントに天体があっても表面的にはおとなしく生きている人はいますよ。
いろいろ書きましたが、外部のものに振り回されたり影響を受けがちなところを自覚しておけばそんなに問題はないかなと思います。あとはサビアンとか度数の意味を捉えて、実際にその天体は何をしているのだろうかを確かめていけばいいんじゃないかと。